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車両走行モデルの時間応答の確認

2023年4月16日日曜日

04. モデルによる時間応答の確認

t f B! P L


はじめに

状態方程式から離散化した逐次式へ で求めた離散化した逐次式

x(t+Δt)=Px(t)+Qu(t)P=I+AΔt(I-\frac{Δt}{2}A)^{-1}Q=Δt(I-\frac{Δt}{2}A)^{-1}B

を用いて車両走行モデルの時間応答の確認(シミュレーション)をしていきます。

車両走行モデル

加速度、速度、走行距離の関係は、それぞれ微分の関係になります。これらを状態方程式にまとめて車両の走行モデルにしていきます。

移動体の加速度、速度、走行距離の関係

\hspace{0.2cm}\text{加速度}\hspace{0.5cm} \frac{dV}{d t}=A \hspace{0.5cm} \text{速度}\hspace{0.5cm}\frac{dL}{d t}=V

CR回路モデルで1次遅れ系を説明しました。

ここで扱う仮想の車両システムは、加速指示Acmdに対して車両の加速度Aが一次遅れで追従するモデルとします。(実際の車両の加速度は駆動力と走行抵抗で決まりますが、ここでは仮想的な車両をモデルとして扱います。実際の車両のモデルは後ほど説明します。)
\text{加速指示の応答} \hspace{0.5cm} \frac{d}{dt}A=-\frac{1}{T}A+\frac{1}{T}A_{cmd} \hspace{0.5cm} T\text{は時定数}
加速指示Acmdから加速度、速度、走行距離の関係をまとめると、下記の状態方程式の形にモデル化できます。

\frac{d}{dt} \left[ \begin{array}{l} L \\ V \\ A \end{array} \right]= \left[ \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & -\frac{1}{T} \end{array} \right] \left[ \begin{array}{c} L \\ V \\ A \end{array} \right] +\left[ \begin{array}{c} 0 \\ 0 \\ \frac{1}{T}\end{array} \right] A_{cmd}

状態方程式を離散化した逐次式に変換

車両走行モデルの状態方程式を逐次式に変換します。
こちらよりExcelファイルをダウンロードできます。

Excelの状態方程式のシートでは下記のように離散化した逐次式のPとQを計算しています。

車両走行モデルではAが3×3行列ですが、行列の積の関数MMULTや逆行列の関数MINVERSEを使うことで、離散化した逐次式のPQ計算できます。また、逐次式にすることによりExcelでのシミュレーションが容易になります。

関数MMULTとMINVERSEについて

行列の積はMMULT関数、逆行列はMINVERSE関数を使いますがちょっと癖があります。
MMULT関数は、掛け合わせる2つの行列を選択してから[Ctrl]+[Shift]+[Enter] で確定になります。また、逆行列のMINVERSE関数も行列を選択してから[Ctrl]+[Shift]+[Enter] で確定になります。

時間応答の確認

Excelのシミュレーションのシートでは、状態方程式のシートで計算した逐次式のPとQを使い、下に示すように逐次式x(t+Δt)=Px(t)+Qu(t)によって時間応答を計算しています。Excelの1行が離散時間Δtです。

行列演算をEXCELシート上に展開

行列P,Qと状態変数のL,V,A、入力のAcmdの行列演算をEXCELシート上に展開して時間応答を求めています。

上部のスライドボリュームで加速度の時定数や加減速の指示値を変更することにより、時間応答の変化を確認することができます。

下の図では、車両の加速度Aが加速指示Acmdに対して時定数 T=1.0秒の一次遅れで応答しています。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次は、電源モデルの時間応答の確認です。システムの状態変化が不連続な場合の時間応答の確認になります。


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