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状態方程式によるモデル化

2023年4月13日木曜日

02. 状態方程式によるモデル化

t f B! P L

はじめに

設計したシステムは多くの場合その時間応答で評価されます。

システムの評価のためのモデル化と時間応答の確認(シミュレーション)はシステムの制御開発のために最初に必要な知見になります。

制御対象のモデル化

制御対象のモデル化とは制御対象を数式で表現することです。数式で表現することで、適用する制御も含めてシステムの振る舞いが適切か事前に確認できるようになります。


状態方程式によるモデル化

モデル化の最初のステップ システムの状態を表現する物理式を書き出してみる

モデル化の最初のステップは、制御対象のシステムの振る舞いを数式で表現することです。システムの状態を表現する物理式を書き出してみることから始めます。
例として、移動体、電気回路、バネ+ダンパ機構の例を示します。

物理式を制御工学で扱えるモデル(状態方程式)にまとめる

バネ+ダンパ機構のモデルを例にモデル化の手順を説明します。

バネ+ダンパ機構の物理式は、バネの変位量に比例する弾性力F_k、ダンパの変位速度に比例する粘性力F_d、質量𝑀のイナーシャF_iと荷重による推力F_gの力の釣り合いを表しています。

F_k=Kx F_d=D\frac{dx}{dt} F_i=M\frac{dx^{2}}{dt^{2}} F_g=(M+ΔM)g
F_k+F_d+F_i=F_g Kx+D\frac{dx}{dt}+M\frac{dx^{2}}{dt^{2}}=(M+ΔM)g

この力の釣り合いの物理式を制御工学で扱えるモデルに変換します。

1階微分式に分解する

N階微分式は1次微分式に

\frac{dx}{dt}=\dot{x}

\frac{d\dot{x}}{dt}=-\frac{D}{M}\dot{x}-\frac{K}{M}x+\frac{g}{M}(M+ΔM)

微分で表現されている内部状態を選んでベクトルにまとめ行列表現に

\frac{d}{d t}\left[\begin{array}{l}x \\\dot{x}\end{array}\right]=\left[\begin{array}{cc}0 & 1 \\-\frac{K}{M} & -\frac{D}{M}\end{array}\right]\left[\begin{array}{l}x \\\dot{x}\end{array}\right]+\left[\begin{array}{c}0 \\\frac{g}{M}\end{array}\right](M+\Delta M)

この式を状態方程式、内部状態を表す変数を状態変数と呼びます。

まとめ

制御工学で扱えるモデル(状態方程式)は
\frac{dx(t)}{dt}=Ax(t)+Bu(t)
の形です。A, Bは定数行列、x(t)は状態変数のベクトル、u(t)はシステムの入力です。

上の式もそうですが、制御工学では主に連続時間系を扱います。しかし、組み込みエンジニアが実装するのは離散時間制御(デジタルシステムへの実装)になります。
そこで、連続時間システムのモデル(状態方程式)を離散時間システムで扱えるように変換する具体的な手法が必要になります。

次は、この状態方程式を離散化した逐次式に変換していきます。
こちら→状態方程式から離散化した逐次式へ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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